人生フルーツ
2017年8月20日(日)|category : ひと葉文庫
むかし、ある建築家が言った。
長く生きるほど、
人生はより美しくなる。
むかし、ある建築家が言った。
すべての答えは、
偉大なる自然の中にある。
8月14日、映画「人生フルーツ」を見ました。
ただの、可愛らしい老夫婦のスローライフのドキュメンタリーだと思っていたら、そうじゃなかったんです。
映画のパンフレットで作家の重松清氏も記していたように、おふたりの人生で実った果実は二つ。
ひとつは、修一さんと英子さんの積み重ねた暮らしの果実。そしてもうひとつは、建築家である修一さんが英子さんの支えの元実らせた、有機的住生活を象る建築の在り様であり、それを控えめに信じ続けたその生き方。撮影中にあちらの世界に旅立たれた修一さん。90歳で亡くなる2か月前に、訪れた最期の仕事の依頼こそが、この二つ目の果実だった。こんなことがあるなんて。
わたしはいつも急ぎすぎているのかもしれない。
風が吹けば、枯れ葉が落ちる。
枯れ葉が落ちれば、土が肥える。
土が肥えれば、果実が実る。
コツコツ、ゆっくり…
人生フルーツ
樹木希林の精霊のような声が、ゆっくりとこの言葉を繰り返した。